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2006年8月1日火曜日

ワーキングユニフォーム 価格改定の行方(下)

ワーキングユニフォーム 価格改定の行方(下)(繊維ニュース)

相次ぐ値上げ表明
 
 作業服アパレルの今秋冬の価格改定の動向は、現段階で大手のほとんどが製品の値上げを決めた。しかし、あくまでカタログの「参考小売価格」を引き上げただけで、アパレルの卸売価格まで上げられるかどうかは、販売店との交渉に委ねられる。


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 昨年の春夏カタログで、参考小売価格を引き上げた自重堂は、他社の動向や販売店の反応を考慮し、半年後の昨秋冬カタログでは、小売価格は上げたものの、掛け率を下げ、販売店の仕入れ価格は据え置く形に修正した。「今秋冬で卸売価格を引き上げるかどうか、現段階では検討中」(出原正貴専務)とする。また、今回値上げを表明したアパレルが、戦略的に販売店への出荷価格を据え置く可能性も十分にあり、ジーベックは「カタログの価格は上げたが卸売価格は変えない」(後藤昇社長)意向だ。
 しかし、今後も川上の各段階からアパレルへ値上げ要請が続くことが予想される。すでに原燃料高などの影響で素材メーカーは相次いで表明している。東レ、帝人ファイバーは作業服用途を含む全素材の価格改定を発表し、具体的な交渉も始めた。染色を中心とした川中企業の採算が悪化するなか、「産地を含めた生産チームを今後も継続していくためにご協力いただきたい」(帝人ファイバー・高橋紀光ユニフォーム販売部長)と訴える。
 東洋紡は「差別化素材を安定供給するためには、汎用素材の収益改善が不可欠」(清水栄一ワーキング・サービスグループマネジャー)とし、来春夏から作業服向け素材を値上げする方針を明らかにした。ユニチカテキスタイルもコストが高騰している現状をアパレルに説明して回っているという。
 服資材商社も状況は同じだ。仕入れコストの上昇を受けて、すでに価格転嫁に動いている。株式会社ミツボシコーポレーション(本社:広島県福山市)の光成慶吾常務は「コストの上昇幅は平均で8~9%にもなり、受け入れてもらわないとかなり厳しい」とし、「4月ごろから交渉を進め、現段階でおおむね了承してもらっている」と話す。別の服資材商社も「転嫁できなければ、減益どころか赤字になる。強い姿勢で交渉に臨んでいる」と述べる。
 こうした値上げ要請が続けば、来年以降もアパレルが製品価格に転嫁する動きが出てくるかもしれない。今秋冬で値上げを見送ったあるアパレルの首脳は「生地値や服資材の価格が決まってから、製品価格を設定したい」と話す。昨年から始まった価格改定の動きは、来年以降も尾を引きそうだ。(おわり)

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